お役立ち情報
続・歯周病治療の料金について考える
先月の『歯周病治療の費用と健康保険』に引き続き、「歯周病治療は保険が効くか」という質問について考えてみたいと思います。
先日来院された30代のOLの患者さんからのご質問は、先月まで他の歯科医院に通っていましたが、歯肉の精密な検査の結果、かなりひどい歯槽膿漏と診断され、歯と歯茎の間に固まっている歯石をきれいに取り除く治療をするのに保険が効かないといわれましたがどうでしょうか、というご質問でした。
一般的に、歯医者さんの治療で保険が効かないのは「差し歯」とか、最近では「インプラント」のような「歯を入れる治療は保険外」というように思っている患者さんが大半かと思います。
ところが、歯周病の治療やむし歯の治療のような、いわゆる「歯を入れる」という治療方法以外にも保険外の部分があります。
従って、このご質問に対する回答は、「歯周病治療は保険が効く」と単純に答えられない部分があります。
前回も書きましたように、ごく一般的な歯周病の初期治療には、6回に分けて固まった歯石をきれいにする治療を行います。
この治療方法を説明された前記の女性患者さんは、「保険はきかないのですか?」と質問をしたところ、保険では歯肉より上についている歯石しか保険適用されないとの説明を受けたそうです。
この前医の先生の回答は、もしこれだけの説明だけだとしたら保険医療養担当規則という厳しい法律に違反する「虚偽の説明」ということになります。なぜならば「歯肉の下の部分に固まっている歯石を取り除く治療」は、完全に保険適用と明記されているからです。
ただし「もしこれだけの説明だけだとしたら」と断ったのは、場合によっては歯科医師の自由裁量によって、保険適用の治療方法の適応外で、保険給付外治療方法の選択が望ましいと説明した上で、自由診療を行うことは問題ありません。
どういうことかと言いますと、保険医でありながら保険給付可能な診療を拒否する事は保険医療養担当規則違反にあたりますが、「一般には保険給付の対象の治療ではあるが、当院ではその治療方法は行いません」ということは歯科医師の自由裁量ですから、十分な説明を聞いた上で、患者さんの自己責任で当該医療機関での受療を判断する必要があります。
日本における国民皆保険制度は、「患者さんの判断で、どの医療機関を受診することもできる」という、世界にも類を見ない素晴らしい制度です。そのような素晴らしい制度には、当然のように患者さんの側にも「医療機関は自分で判断する」のは自己責任ということでもある訳です。
歯周病は人類史上最大の感染症
歯周病は人類史上最も感染者数の多い感染症とされ、ギネス世界記録にも載っているそうです。
歯周病は歯を失うだけでなく、心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病などを悪化させるなど、皆様の全身の健康状態に悪影響を与えます。厚生労働省の歯科疾患実態調査によると、歯周疾患に罹患している割合が、五十代の人で約半数に達しており、また高齢者の歯周疾患患者が増加していると言われています。
フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」で「歯周病(歯槽膿漏)という病気」を調べてみると、人類史上最も感染者数の多い感染症とされ、ギネス・ワールド・レコーズに載っているほどである。日本が「歯周病大国」と呼ばれているとの主張もありますが、一方では、この統計には8020運動の推進などにより、高齢者になっても残っている歯の本数が増加し、統計上は必然的に歯周疾患が増加しているという指摘もあります。
この病気は24~25歳頃から始まり、ゆっくり進行することが多いため、特に40大半ばからは進行が早くなり、歯がぐらぐらになって、抜歯や入れ歯となるケースが増えてきます。別名、サイレントディシーズ「静かな病気」とも呼ばれています。
なぜ歯周病(歯槽膿漏)という病気になるのでしょうか?実はこの病気は虫歯と同じ細菌感染症なのです。その細菌の固まりがプラーク(歯垢)です。ですからプラーク、あるいは歯石がついていないことが重要です。
太古の時代には人間は歯ブラシを持っていませんでしたので、理屈から言えば、プラークは健全な食生活で落とすことが出来ますが、歯石はブラシでは落とすことができません。そのため、歯石を取るためにはスケーラーという特殊な器具が必要で、この器具を使って歯科衛生士が歯石を取っていきます。
つまり、毎日きちんと大切なご自分の歯を磨いても、いつの間にか歯周病(歯槽膿漏)という病気にかかっている可能性があるということです。歯石は歯周病(歯槽膿漏)という病気を引き起こす原因と考えられがちですが、歯石が病気を起こすのではなく、プラークの増殖を助けるため、定期的に歯石を取らなくてはいけません。歯周病には、これらのプラーク以外にも「歯にかかる過大の力」「ストレス」「たばこ」「糖尿病」などの原因が複合的に関与しています。この中で最も大きな危険因子が喫煙ですので、歯周病対策には、まず禁煙が必要です。
「歯肉が腫れる」「歯肉から出血する」「口臭が気になる」「歯がグラグラする」などの歯周病特有の症状がなくとも、このような症状が現れる前に定期的に歯科医院で健康をチェックすることが大切です。
「症状が気になったら、すぐに歯科医院を受診してください」と言っている歯医者さんは予防に熱心でない場合が多く、あまりお勧めできません。ただ、予防に熱心でない先生方(比較的古い世代の先生方)は、案外と抜歯が得意だったりするので、大切なご自分の歯を抜いてもイイと思っている患者さんにはお勧めかもしれません。
歯周病治療の費用と健康保険
時々、「歯周病の治療は保険が利きますか」「歯石除去は保険適用外ですか?」などのご質問を頂くことがあります。
基本的に歯周治療はレーザー治療や特殊な薬を用いた治療を除いて、歯肉を切開して、頑固な歯石を取り除く、あるいは細菌に侵された骨の表面を健康な状態に戻す歯周外科手術に至るまで全て保険適応内となります。
もちろん歯周治療を自由診療で行っている先生方も大勢おられますが、最近の健康保険制度では歯石除去、歯垢・歯石の掻爬、歯周外科処置、病状が安定した後の定期的なメンテナンスまで保険が適応されます。原則としては保険医指定を受けている場合は、保険医療養担当規則という厳しい法律があり、保険適応の診療を拒否する事は出来ません。
一方では、その療養担当規則同様に、本来は自由裁量である医療行為を、歯石除去は何回まで、使える薬は○○と○○に限る、再発しても一定期間は再治療禁止などの事細かな規則があるのも事実です。そういう規制は患者さんのためにならず、それを理由に歯周治療を自由診療で行っている先生方がおられます。
例えば、一般的な歯周病治療歯は、口の中を上下に二分割して、さらに上顎・下顎を左右の奥歯と前歯の三つのブロックに分けて、合計六分画に分けて治療をします。
この治療は校正中立な立場から見ても、少なくとも一回1万円位が妥当と言うのが歯科医師の大半の意見です。ところが健康保険制度では、わずかに3千円位しか給付されません。この場合、患者さんの窓口負担は千円程度ですので、受診率の向上には役立っています。
もし窓口負担が毎回3千円~4千円だったら、「もうちょっと悪くなるまで我慢して、痛みが出たら歯医者に行こう」という患者さんが増えてしまいます。
そうは言っても、歯科医師の大半の意見が、少なくとも一回1万円位が妥当な治療が、保険医療養担当規則に従った場合は3千円では、良心的な先生方ほど歯周治療を自由診療で行いたくなる気持ちもご理解頂ければと思います。
これらの説明は、あくまでも一般論ですので、歯科医院や地域(都市部と地方)では異なる場合もあります。
実際にご自身が治療を受ける際には、よく説明を聞いてからご判断頂ければ幸いです。
また、「安いから」「高いから」という治療費だけで歯科医院を選択するのではなく、ご自身の健康増進のためのコストパフォーマンスを考慮して、最も適切な歯科医院をご選択頂ければと思います。
歯周病治療に限らず、治療費や治療方法の説明に時間をかけてくれる歯科医院をお勧めします。
オーラルケア商品だけで歯周病は改善しますか
どうしても歯医者に通う時間のない方や歯医者嫌いの方々に、洗口剤やオーラルケア商品の歯周病改善効果についてご説明します。
時々患者さんから歯周病予防のオーラルケア商品や洗口剤だけで歯周病は治りますか、と聞かれることがあります。その中でも、ちょっと返答に困るのが、「歯周病予防を謳っているものと、歯周病の症状を改善するものは違いがありますか、どっちが良いですか」というご質問です。
結論から言いますと、歯周病の程度にもよりますが、改善効果は現れますが予防とか改善という言葉とは少し違います。たしかに「改善」には違いないのですが、患者さんが求めている「改善」と、これらの商品によってもたらされる「改善」には差があるようです。
一般的には歯肉炎や歯周病と総称されていますが、極初期の歯肉炎から、グラグラで、今にも歯が抜けそうな重症の歯周病までいろいろで、歯周病の予防を謳い文句にしている商品で「改善」が可能なのは歯肉炎から初期の歯周病位までと考えていいでしょう。
一般的にこういった商品の効能は、殺菌作用やバイオフィルムと呼ばれる最近の固まった薄い膜を柔らかくしたり、弱めたりすることが目的です。
そして、これらの弱った細菌やバイオフィルムは、機械的に歯ブラシや超音波ブラシなどでこすり取らなければ意味がありません。
まず、歯科医院でちゃんと診断を受け、毎日の歯ブラシの補助的にもこういった商品の使用をお勧めします。
また、ご自分で歯垢(プラーク)の検知腋を使って、じっさいに細菌のこびりついている部分を染め出したりすることも大切です。軽度のものも含めると、30代の日本人の80%以上が歯周病と言われていますが、それだけ十分な口腔内ケアができていないということの証明でもあります。きれい好きな日本人ですから、オーラルケア商品は良く売れているのですが、この結果を見ると「改善」の程度はけっして高くないようですね。
そうはいっても、やはり「何とか歯医者さんに行かずに、自力で予防をしたい」という人には、イソジンうがい薬などのヨード入りの含嗽剤とウォーターピックの併用や、フッ素入り歯磨きと超音波ブラシの併用などもお勧めの方法です。
逆に、歯磨き剤の多用は刷掃時間が短くなる傾向がありますので、ごく少量の使用をお勧めします。
妊娠中でも歯周病の治療は可能でしょうか
妊婦さんの歯科治療は「安定期がいい」とよく言われますが、それは虫歯でも歯周病でも同様です。
時々患者さんから「妊娠○○か月ですが、以前から歯周病と言われていたので、この際、きちんと治療をしたいのですが」とか、「妊婦検診で歯周病と言われましたが、治療可能でしょうか。」などのご質問を頂きますが、場合によっては治療が難しい場合もあり、お答えに困ることがあります。
妊婦だからと言って歯科治療が出来ないと言うことはありません。「子供にカルシウムを取られた」などと言われるように、妊娠から子育ての時期に口腔内の状態を悪くする患者さんが大勢おられます。
また、つわりの時期で歯磨きも難儀くなったり、唾液の量が減って自浄作用が低下したりして、お口の中の環境はけっして良いモノではありません。
ただ残念ながら、中には虫歯も歯周病もかなり悪くなるまで放置していて、何を思ったのか「このさい、徹底的に治したい」とおっしゃって来院される患者さんもおられます。もちろん、その心がけは良いのですが、「出来れば、もっと以前に来て欲しかったなあ」という患者さんが少なくないのも事実です。
ある程度本格的な治療になりますと、レントゲン撮影や投薬が必要になりますし、治療の刺激もけっして小さいものではありません。一般的に安定期に入ってからの治療がいいと言うのは、つわりも落ち着き、身体を動かしても差し支えないという意味であって、どんな歯科治療でも可能という意味ではありません。
一方では、状態にもよりますが、歯周病は早産に影響するという報告もありますので注意が必要です。
>歯周病の妊婦は早産・低体重児出産のリスク
>2005年03月22日
>歯周病にかかっている妊婦が出産すると、早産になって低体重児
>となるリスクが高まることが、日本人を対象にした疫学調査で分
>かった。これは、今年2月に東京で行われたライオン主催の健康セ
>ミナーで、北海道医療大学歯学部教授の古市保志氏が報告した
>切迫早産の妊婦では歯周病菌が4.5倍も
>日経BPネットより引用
歯周病・虫歯の治療は、基本的に妊娠中控えるべきものではありませんが、麻酔やレントゲン撮影、投薬などで避けるべきものもありますので、結婚前からの定期検診やかかりつけ歯科医をもつことを強くお勧めします。
いびきと舌癌の関係~その2
ネット検索で「いびきと舌癌」は無関係と早合点した人は要注意。
4~5年前ならいざしらず、さすがに最近ではYahooやGoogleの検索結果を鵜呑みにする人は減ったと思いますが、「acドメイン絞り込み検索」などのテクニックを駆使して辿り着いた検索結果ならば、ある程度信頼しても良さそうです。
ところが、前回の「大学関係の情報の上位100件までの抄録部分の記載を見る」という方法は、かなり信頼性のある方法ですが、実は落とし穴もあります。それは「同義語検索の限界」ということなんです。
このお役立ち情報では、お口の健康情報を提供するとともに、患者さんたちが自分でネットを色々調べる方法についても解説しています。それは「情報開示 自己責任」という健康管理に関する基本的な考え方と、「私達の言うことを鵜呑みにしないで、いろいろ調べてね」というスタンスでもあります。
患者さんの中には「お前は歯医者なんだから、治すのはお前の責任だ、サッサと上手にやれ」という姿勢の人が時々います。こちらでは「病気になったのは貴方ですよ、私たちが病気にしたのではないですよ」と言いたいのですが、往々にしてそういう患者さんは聞く耳を持たない人ばかりですから厄介です。やはり健康管理は自己責任、医療は公的なもので限界もあるということをご理解頂きたいと思っています。
少し話がそれてしまいましたが、何が言いたいかというと、医療や健康管理にとって、もっとも大事なのは情報であり、全ての患者さんが最新の情報を簡単にわかりやすく入手でき、その上で自己責任で病院を選び、治療方法を選択できるというのが理想だと思っているので、いろいろな検索方法などもご紹介している次第です。
本論に戻りましょう。「同義語検索」というのは、「舌癌」とか「いびき」などの検索語そのものではなくその同義語に基づく結果も表示する機能で、Googleが2010年1月から正式に取り入れ始めました。もちろんGoogleでは、ずっと以前から関連キーワードや類義語なども考慮した検索結果を表示していましたが、公式な表明が行われたのは最近のことなんです。
Googleは同義語による検索結果に関する研究を5年以上続けており、その精度は同義語を含む結果を持つ検索50件につき、不適切な結果はわずか1件だったということで、かなりの精度ではありますが、実は完全ではありません。
例えば、「舌癌」と「舌がん」では検索結果が、834000件と295000件というように、かなり違ってきます。この両者を検索する人のニーズは、まあ、ほぼ同じなワケですから、「同義語検索」を信頼しすぎるのは、時期尚早ということが言えます。
では前回お話した「舌癌といびき」の関係ですが、「舌癌 site:ac.jp」の検索結果100件の抄録には「いびき」というキーワードは出てきませんが、「舌がん site:ac.jp」の検索結果の方には4件の抄録に「いびき」というキーワードが含まれており、やはり「やや関係あり」ということがわかります。
いびきと舌癌は関係があるか
すでに番組としては終了した「タケシの本当は怖い」は、かなりインパクトのある番組でしたね。
インターネット時代のいいところは、こういうおもしろかった番組の過去の抄録が、番組ホームページで見られることです。ちなみに同番組の場合は2004/04/13放送が第一回のようで、なんと初回番組の内容が「本当は怖い虫歯~虫歯が引き起こす恐怖」で、「いびきが舌癌の最終警告」という衝撃の内容でした。
気の早い方は「いびきをかくと舌癌になるのか??」と思われるかもしれませんが、それは違います。どういうことかと言いますと、同番組の説明によると「ガンで腫れあがった舌がのど元に垂れ下がったために、気道が狭くなり、いびきをかくようになったのだ」ということのようです。
たしかに三段論法のようなもので、その通りではありますが、この論法は少し気になりますね。さっそく、いつものようにネットを駆使して「ウラ」を取っていきましょう。
まずいつものようにフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で「舌癌」を調べ、そのページ内で「いびき」というキーワードがあるかどうか調べてみました。結果はゼロ。では逆引きでやってみましょう。
ウィキペディアで「いびき」を検索して、ページ内検索で「舌癌」を調べましたが、こちらもゼロでした。
ただ、これだけで「舌癌といびきは無関係」と言い切れないので、直接Googleで「いびき 舌癌」と検索してみました。結果は12200件。ところが検索結果をよく見ると、案の定「タケシ、、、」「本当は怖い」「たけし、、、」などの番組内容に関連した書き込みが相当数ヒットしました。
そこで「除外検索」という方法で、「舌癌 いびき -たけし -タケシ -本当は怖い」と検索してみました。
結果は11700件。上位表示からは「タケシ」関連のデータはなくなりましたが、これだけの数がヒットするということは、、、どうも関係はありそうな予感。ただ、知りたいのは「いびきをかくと舌癌になるか」あるいは「いびきは舌癌の前兆か」ということなので、もう少し調べてみます。
今度はGoogleで「いびき」と検索して、さらに「acドメイン絞り込み」を併用しましょう。これは以前も書きましたように、大学関係の情報だけを検索する高等テクニックでしたね。まず「いびき site:ac.jp」のヒット数は3360件。検索結果の上位100件までの抄録部分だけをザッと見渡しても「舌癌」の記載はなし。逆引きで「舌癌 site:ac.jp」のヒット数は11300件。上位100位以内の抄録部分に「いびき」の記載なし。
「acドメイン絞り込み」で表示される検索結果は、大学関係の論文なども多数含まれているため、他の情報に比べて「抄録」がきちんと書いてある場合が多く、その中の上位100件に「いびき」や「舌癌」の記載がないということは、どうもあまり関係ないらしいですね、、、と言いたいところですが、、、。
実は、この検索方法には致命的な欠点があったのです。では、その致命的な欠点とは、、、。
病を招く危険な歯並び、ご存知でしたか
「たけしの家庭の医学」って、患者さんの心理をつかんでいますね。「危険な歯並び」、少し解説してみましょう。
先日放映された「たけしの家庭の医学」で、「病を招く危険な歯並び」というセンセーショナルなタイトルで、歯列不正が取り上げられていました。その内容は、ズバリ「歯並びが原因で舌癌になった」というもの。この話題については、歯科医師たちのメーリングリストでも話題が沸騰していました。
番組によれば、舌癌の最大の発症原因は喫煙と過度の飲酒で、「不良補綴物(合わない被せモノ)」や「虫歯の放置」などがそれに続き、歯並びの悪さも、ガンを発生させてしまう危険因子と考えられていると言う。
それってホント??と思うのが多くの人たちの本音だと思うが、ネットで調べる限り、間違いではないようだ。
と言うのも、何らかの慢性的な刺激がガンを発生させてしまうことはよく知られており、舌癌も例外ではない。なにしろ歯と舌は24時間365日、一時も離れずに接触を繰り返しているのだから、それが「何らかの慢性的な刺激」と言うのであれば、これほどの「慢性刺激」はないだろう。
しかしフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、「舌癌」の原因として「慢性刺激」は示されていない。もちろんWikipediaは万能ではないし、間違いが指摘されることもある。同事典の「医療に関する記事については免責事項もお読みください」という注釈を読むと、「いかなる記事もその正確性はまったく保証されていません」とある。
では舌癌の原因として歯列不正はどうなんだろう。
今度は以前にもお話しした「舌癌 site:.ac.jp」で検索してみましょう。これは大学関係のホームページだけを検索する方法でしたね。結果は11200件もヒットしました。それらのひとつひとつの論文にまでは当たれませんが、抄録を走り読みする限りは「極めて深刻」というほどではなさそうですね。
どうしてこんな大雑把なことが言えるのか、怪訝な気持ちの方も多いでしょうね。もちろん、抄録と言ってもGoogleの検索結果に表示されたものを走り読みしているに過ぎないので、どれほどの信頼性があるかは、それこそ「正確性はまったく保証していない」ものなのですが、実はこんな方法もあるのですね。
まずGoogleの検索オプションという頁を開いて、検索結果の表示数を10件から100件に変更します。その上で、ページ内検索という方法で「歯列」とか「歯並び」を調べてみると、100件の検索結果の抄録のどこにも書いていない事がわかります。
もともとインターネット上の情報は学術論文を中心に普及してきた経緯があり、Googleが論文から抄録を抽出する精度はかなり高いと言われています。ただ、この結果を見て、「舌癌と歯列不正」の因果関係をご判断していただくのもよろしいのですが、もし少しでも心配がある場合は、歯科口腔外科を標榜している専門医の受診をお勧めします。
歯茎からの出血が招く恐ろしい病
「たけしの健康エンターテインメント! みんなの家庭の医学」で紹介された歯周病のどんでん返しを知りたい方へ
2010年10月12日放映の「たけしの家庭の医学」では、「歯茎からの出血が招く恐ろしい病」というタイトルで、歯周病について解説していました。実例として番組で取り上げられた【13年程前から徹底した健康管理をしていたが、わずか1分しか歯磨きをしていなかった71歳の主婦】の話には驚きました。
その女性は、人一倍身体には気を遣い、魚と野菜中心のヘルシーな食事を採り、毎日1時間のウォーキングも欠かさないというほど健康意識が高かったが、歯磨きに関してだけは、わずか一分程度のおおざっぱなものだったという。良く聞いてみると60歳近くまで全て自分の歯で、いわゆる「歯医者知らず」だったとのこと。
そのため、歯ぐきからの出血もたいして気にも留めず、「健康」を謳歌していたようだ。ところが、あるとき歯ぐきの腫れが原因で歯科を受診して重度の歯周病ということが判明。番組の表現によれば「熟れたトマトのように赤く大きく腫れ上がった」そうだ。
驚いた本人は、半年間きちんと歯科に通い続け、治療後も丁寧な歯磨きを心がけていたと言う。
ところが、、、、悲劇は2年後のある日、突然起こった。
ある日の朝、散歩中に、これまで経験したことのないような激しい喉の渇きを覚え、夜間にも異常な渇きが続くため、内科を訪れると、重度の糖尿病と診断されたそうだ。
最近の研究によれば、歯周病菌が糖尿病の発症を促す因子として注目されている。
いつものようにフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で「糖尿病と歯周病の関係」を調べてみると、歯周病菌が血管の中に侵入し炎症が起こると、サイトカインという物質が出来る。このサイトカインというのは「白血球の汗」と呼ばれ、白血球が進入してきたバイ菌や異物を攻撃する時に出る「汗」で、言ってみれば人間の免疫機能の主役の一人と言っても良い。
ところが、このサイトカインの一種である「TNF-α」という物質が、出血性の壊死を生じさせるという怖い働きをして血液中のインスリンの働きを妨げ、血糖値を上昇させ、重度の糖尿病となってしまう。
もちろん番組の中でも言っているように、歯周病菌だけで糖尿病が発症するワケではないが、食生活の問題などが加わり、歯周病菌が糖尿病の後押しをしてしまうと考えられているということのようだ。
ちなみに、この番組は2009年末まで「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」という名前で放映されていたが、2010年より体に良く、長続きする健康法の提案を目的に、“学んで楽しい! やって楽しい健康法!!”というコンセプトにリニュアルされ、「たけしの健康エンターテインメント! みんなの家庭の医学」と改題された。
正しい歯みがきのコツは、すぐに歯をみがかないこと
「ためしてガッテン」2010年9月22日放送の番組の中で、「正しい歯みがき」のコツは「食後すぐに歯をみがかない」こと、という衝撃的な報道がありました。「えっ」と思われた方も多いと思いますが、食事の後、1時間ほどたってから、歯を磨く方が良いとの見解でした。まあ時間は対して関係なく、ダラダラ食いを避けていれば良いのですが、立場上はそうも言っていられないので、この「食後、約1時間」の説明をいたします。
食事のあとは誰でも唾液が酸性に傾きます。その結果、歯の表面のカルシウムが唾液の中に溶け出します。ところがしばらくするとだ液の中和作用で酸が中和され、唾液の中に溶けていたカルシウムが歯の表面に戻ってきます。この現象を「脱灰」と「再石灰化」と呼びます。この目安が、およそ1時間といわれているわけです。
そのほか番組では、「知覚過敏を放っておくと、しみなくなるのはなぜか?」という疑問も取り上げています。
たしかに虫歯のようにどんどん進行するものではなく、くさび状欠損はある程度の深さになると、それほど深くならず、かなりしみた歯でも、いつの間にか症状が消えることが良くあります。多くの患者さんが、これで「治った」と勘違いするのですが、安心はできません。番組でも言っていましたが、ある程度進んだくさび状欠損は、専門的に言うと「象牙質露出」「象牙質知覚過敏」の状態です。
なぜ症状が消えるかというと、カルシウムの働きで刺激が遮断されるからなのです。もう少し詳しく言いますと、くさび状欠損によって露出した象牙質の表面には無数の穴があいており、その穴は象牙細管という経路を辿って、「言葉にするのも憚られる」歯の神経に繋がっています。
症状が消えるのは、唾液の中に含まれるカルシウムの結晶がこの穴がふさぐからと言われています。また、これは象牙質知覚過敏に限ったことではないのですが、外界からの刺激が加わると、歯の内側からもカルシウムの結晶が壁を作って、刺激を遮断しようとします。この壁のことを「二次象牙質」と呼んでいます。
例えば原始人は「砂の混じった食べ物」などを平気で食べていたわけで、「歯が欠ける」「歯が折れる」などというのは、日常茶飯事だったと思われます。そのたびに「歯がしみる」と顎を押さえていたのでは、食物連鎖の頂点に立ち、自然界に君臨していたクロマニョン人やネアンデルタール人のメンツが立たないわけです。
ということで、この「二次象牙質」の働きなどもあって、象牙質知覚過敏の状態でも症状が消えることも多いのですが、やはり安心はできないのです。
実はこの象牙質というのは、硬度は5程度で硬度6~7のエナメル質に比べて軟かく、本来はエナメル質に覆われているのですが、くさび状欠損によって表面のエナメル質がはげ落ちた状態なワケで、とても虫歯になりやすい状態です。
ですから症状が消えたからと言って、くれぐれも「虫歯じゃないと言っていた背の言うとおりだ」「申し訳ないから、少しぐらい沁みても、あまり歯医者さんには行かないことしよう」などとは思わないでくださいね。
